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2022-05-11

福岡より千葉への看護師付き添い長距離搬送|故郷で共に暮らすために。


「今度は母を千葉の実家に一緒に連れて帰ってください」ととてもやわらかな優しいお声でご相談してくださったのは、以前埼玉県から福岡へ長距離搬送でお連れしたW様でした。

1年ぶりにお会いしたお母様は、以前と変わらず、大きなお声でお話しし、お歌を歌われていました。
脳梗塞を患ったため、言葉は不明瞭ですが、息子様や私に、ずっとお話をしてくださいました。

千葉県までの移動は、トータル10時間程かかります。
新幹線での移動の際、息子様は、ご自身が産まれて間もない頃の裸ん坊のお姿や、亡くなられたお父様、お母様と写られた家族写真などをお母様にお見せになりながら、沢山の思い出のお話を聞かせてくださいました。
そんな息子様に向かってお母様は、お手を振られたり、お声を出されてお話をされていました。
お母様は、お元気な頃は、お歌を歌ったり、洋裁や、絵を描かれたりと、非常に多趣味で、多才な方だったとのこと。そんなお母様のお話をされる息子様のお姿はとても嬉しそうなご様子でした。

しかし、そのご様子とは裏腹に、今後のご自宅での介護生活について心配もあられる様子。。。
新幹線の中で、自宅でのオムツ交換や、お食事についてなどのお話しをさせていただきました。
その中で私は、「全てを完璧にしようとせず、周りの方、ヘルパーさんや、看護師さんに頼りながら、お一人で頑張りすぎないでくださいね」と繰り返しお伝えしました。

千葉県のご自宅の近くの病院で受診し、ご自宅へ。。。
ご自宅には、電動のベットと縁側からお部屋へ入れるようにリフトが設置されていました。
「この日のためにリフトをつけました」と息子様。
リフトにリクライニング車イスごと乗り込み、縁側からスムーズにベットへとお連れすることができました。
この日のために、息子様、ケアマネ様と協力し準備をされた事を思うと胸が熱くなりました。

ご実家に戻りお母様の介護をすると決められた息子様。
自宅の整理をする中で、お母様が書かれた日記が出てきたそうです。その日記にはお母様の字で、その日のスーパーで買い物したキャベツの値段、お家を買うと決められた当時の広告、息子様に対するお気持ちなどそれはそれはこと細やかに記されていたそうです。
その日記を見て、お母様のお気持ちに触れ、「今度は私が母に恩返しをするんです」と、とても力強くお話をしてくださいました。

私達は搬送をお手伝いさせていただく中で、患者様やご家族様の熱いお気持ちに触れ時には共に涙し、数多くの障害を共に乗り越えます。
1人でも多くの方に私達、民間救急の事を知っていただき、皆様が希望されるお家、病院、施設、思い出の場所へ行ける事を心より願っています。

誰しも限られた時間を、大切な方と過ごせるように。。。

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